二十七歳の地図

日記・詩・小説をつらつらと書き綴っています

Under the ground

新しい靴を履いていつもの並木道を歩く

幼年期、背丈よりだいぶ高い塀に囲まれて歩いた夏を思い出した

この道をいったいどれほどの人が踏みしめ通りすぎてきただろう

数えきれぬほどの汗や涙や埃や土が流れただろう

 

橋の向こうには、人々を吸い込み吐き出し続ける地下鉄の駅が口をあけている

抗えぬ流れに身を委ね、俺は隣の友人と今日の出来事を語り合う

電車の車両はまるで幸と不幸がプラスマイナスゼロであるかのように様々な人間がいる

この車両でいちばん不幸なのは誰か

この電車内でいちばん幸せなのは誰か

この世界に幸せな者は存在しえるか

律儀に人間を運び続ける鉄の箱は、いったいいつまで動き続けるのだろう

俺は運ばれるのではなく自分の足で歩いて行きたいだけ

たったそれだけのことを求めても白い視線が突き刺さる

穴だらけのこの身体はもう限界だけど、いくつかのやさしい眼差しで傷がふさがる気がした